日本看護管理学会誌
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原著
育児中の女性看護師のプレゼンティズムと夫婦の職場および家庭の労働時間,役割分担満足度との関連:横断的調査
中山 純果飯島 佐知子大西 麻未
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2024 年 28 巻 1 号 p. 83-93

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抄録

本研究は,育児中の共働き女性看護師である妻のプレゼンティズムと夫婦の職場と家庭の労働時間の組み合わせならびに妻の役割分担満足度との関連を明らかにすることを目的とした.全国20病院に勤務する12歳以下の子を持つ共働きの女性看護師の夫婦を対象に無記名自記式質問紙調査を行った.夫婦421組からの回答(回収率35.6%)のうち,夫婦いずれかの回答の不備,子どもの年齢が基準外等の無効票および除外基準とした健康問題が全くなかった者を除く女性看護師331名を分析対象とした.プレゼンティズムの測定には日本語版SPS-13のWork Impairment Score;労働障害スコア(以下WIS)を用いた.WISを従属変数とし,夫婦それぞれの回答による職場と家庭の労働時間の組み合わせ(交互作用),夫婦の分担状況に対する妻の役割分担満足度を独立変数とする共分散分析を行った.妻のWISと,妻の家庭労働時間と夫の職場労働時間の交互作用(p=.008)ならびに妻の役割分担満足度(β=-.103, p=.007)との間に有意な関連が確認された.すなわち夫の職場労働時間が短い場合に,妻の家庭労働時間が最も長い群 (7.01h以上) では妻のWISが高かった.また,妻の役割分担満足度が低いほど妻のWISが高いことが示された.家庭要因が健康問題を有する女性看護師のプレゼンティズムに影響を及ぼすことが示唆された.

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© 2024 一般社団法人 日本看護管理学会
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