日本看護管理学会誌
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原著
特定機能病院に勤務する看護師の臨床的自律性の因子構造および個人属性による比較
新美 寿美金子 さゆり
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2024 年 28 巻 1 号 p. 62-71

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抄録

目的:特定機能病院に勤務する看護師が発揮している臨床的自律性の構造を明らかにし,個人属性で違いがあるか検証する.

方法:特定機能病院6施設に勤務するクリニカルラダーレベルⅡ以上の看護師877名に質問紙調査を実施した.臨床的自律性に関する50項目の項目分析と因子分析を行った.妥当性はモデル適合度指標,Nursing Activity Scale(NAS)日本語版を用いて確認,信頼性はCronbachのα係数で確認した.個人属性で臨床的自律性に差があるか検証した.

結果:有効回答234名を分析対象とした.因子分析の結果,4因子【患者の意思を尊重するための看護実践】【医師との協働領域における専門職としての実践】【看護専門職としての責務遂行による充足感】【看護独自の領域における専門職としての実践】が抽出された.モデル適合度指標はGFI=.853,AGFI=.816,CFI=.910,RMSEA=.070であった.4因子とNAS日本語版の下位概念の相関はr =.15~.46であった.4因子のα係数は .73~.91であった.個人属性による比較では,【看護専門職としての責務遂行による充足感】ではクリニカルラダーレベルⅡとⅢに有意な差がみられ,【看護独自の領域における専門職としての実践】では経験年数10年前後で有意な差がみられた.

結論:特定機能病院に勤務する看護師の臨床的自律性は4因子構造であり,信頼性・妥当性が確認された.

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