2002 年 5 巻 2 号 p. 64-70
年齢によって,ナースの臨床実践能力はどのように違うのであろうか.因子分析によって見出した8つの臨床実践能力の構成要素,すなわち「人を育てる能力」「人間関係・職場の活性化を促す能力」「自己を磨き高める能力」「状況判断をし,変化に対応する能力」「新しいものを取り入れる能力」「患者・家族および医療チームとの共働の能力」「看護という仕事へのコミットメント」「医療事故防止対策と姿勢」を,5歳間隔の6つの年齢階級ごとに比較した.調査対象,調査時期,調査方法,質問紙は,第1報と同様である.分析は,Kruskal-Wallis検定を用いた.また結果は構成要素別のレーダーチャートで表記し,年齢階級で比較した.
以下のことが明らかとなり,教育的支援についての課題が示唆された.
1. 「人を育てる能力」「患者・家族および医療チームとの共働の能力」は,年齢により大きな差があるが,「人間関係・職場の活性化を促す能力」「新しいものを取り入れる能力」「看護という仕事へのコミットメント」は,年齢による差がない.
2.「新しいものを取り入れる能力」は,25歳以下で高いが,その後はいったん低くなる.また「看護という仕事へのコミットメント」は,26~30歳を過ぎると,ほとんど変化はみられない.
3.25歳以下は,「新しいものを取り入れる能力」のみ突出して高い.36~40歳は,5つの要素が31~35歳群よりも低く,特に「人間関係・職場の活性化を促す能力」「状況判断をし変化に対応する能力」は,目立って低い.
4.36~40歳の臨床実践能力は,ライフステージを反映した結果と推察する.次の年齢階級の臨床実践能力の高さとバランスから,この時期が生活主体者としてのさまざまな体験による看護の質の充電期間と捉える必要がある.