2002 年 5 巻 2 号 p. 55-63
臨床現場での中堅看護婦・看護士の影響は大きく,どのように中堅看護婦・看護士を育成するかが現任教育の課題である.単に経験年数を積むだけでは,臨床の場に必要な能力をもつ中堅として成長しないという考えのもと,中堅看護婦・看護士の実践能力を明らかにすることを目的とし3病院で勤務している3年目以上の看護婦・看護士574名を対象に調査を行った.
調査方法は,研究者が作成した質問紙による無記名自記式のアンケート調査で,質問内容は,研究者の臨床体験・教育体験を基に作成した臨床実践能力を構成する5つのカテゴリーに関する質問48,一般属性と影響因子に関する質問21とした.分析方法は,臨床実践能力の質問項目を4件法で得点化し,カテゴリー・質問項目別に平均得点を算出した.また総得点と一般属性・影響因子との関連について一元配置分散分析を行い,さらに有意差のあった項目と総経験年数とのχ2検定を行った.
その結果以下のことが明らかとなった.
1.臨床実践能力の5つのカテゴリー別平均得点は,「看護管理能力」が一番高く,以下「職場での影響力」「患者に対するケア能力」「教育能力」「自己学習能力」の順であった.
2.看護管理能力のカテゴリーに属する項目のうち,事故防止に関する項目の平均得点が高かった.
3.自己学習能力のカテゴリーに属する項目は平均得点が低く,その中でも研究に関する項目は低かった.
4.臨床実践能力の得点と有意差がみられた一般属性・影響因子は,年齢,職位,総経験年数,卒後年数,看護職を辞めない理由,中堅の自覚,自分の看護に影響した患者との出会い,管理経営者志向,婚姻状況,経験部署の多少であった.
5.看護職を辞めない理由,自分の看護に影響した患者との出会い,管理経営者志向は,総経験年数に関連せず,臨床実践能力に影響していることがわかり,臨床実践能力は経験の側面からだけでは測ることはできないことが示唆された.