日本看護管理学会誌
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原著
看護管理における継続教育と看護管理者に求められる能力
―日本看護協会認定看護管理者教育課程サードレベルを修了した看護部長の認識―
柴田 秀子井部 俊子小山田 恭子
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2003 年 7 巻 1 号 p. 5-16

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抄録

本研究の目的は,看護管理者の継続教育の一つである,日本看護協会認定看護管理者教育課程サードレベルを修了した看護部長たちが,現実の職責を果たすなかで,教育課程受講後の自分自身の管理行動や内面の変化,学習した管理の知識や技術の有用性について,どのように認識しているのかを明らかにすること,さらに,看護部門の長の任にある看護管理者に求められている役割と必要とされる知識・技術について明らかにすることである.

研究対象は日本看護協会認定看護管理者教育課程サードレベルを修了した病院の看護部長7名で,研究方法は研究者が作成した半構成的質問紙に基づいた面接調査方法を用いた.面接で得られたデータの逐語記録をデータベースとして内容分析を行い,帰納的にカテゴリーを導き出した.研究結果は,次のとおりである.

1.看護管理者教育受講の動機として,「職位・職責に必要な教育」,「上司・組織からの支援」,「継続した学習の機会の必要性の認識」,「組織の変革・発展に必要」などが明らかになった.

2.看護管理者教育受講後の管理行動や周囲との関係性における変化として,「病院経営管理への参画」,「信頼関係の確立」,「交渉力の向上」,「組織の変革・新規事業の立ち上げ」,「組織内外での役割拡大」などが明らかになった.

3.トップマネジメントの任にある看護管理者たちが必要としている能力は,経営能力,企画力,問題分析能力,情報収集能力,論述する能力,交渉力,コミュニケーション能力などであることが明らかになった.

4.看護管理者教育で学習した知識・スキルとして,経営管理,医療経済,財務・会計の知識,マーケティングなどに関する知識がきわめて有用であると認識していた.

さらに,継続した学習の機会の必要性が示唆された.

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© 2003 一般社団法人 日本看護管理学会
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