日本看護管理学会誌
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ICU・急性期ケア領域に配属された看護系大学新卒看護師の現状と課題
―グループ・インタビューを用いた分析から―
坂口 桃子作田 裕美荒井 蝶子
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2004 年 8 巻 1 号 p. 68-78

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抄録

看護基礎教育における看護実践能力の育成に向けたカリキュラム・教育方法・臨地実習体制を検討する手がかりとするために,ICU・急性期ケア領域に配属された看護系大学新卒看護師が体験している職務に関連する現状をグループ・インタビューによって把握した.5名の対象者が就職初期に経験した感情について語ったエピソードは『仕事そのもの』に関するものと,『人間関係・サポート体制』に関するものに大別できた.『仕事そのもの』に関しては,「達成」「承認」「責任」「専門性」「勤務条件」に分類でき,『人間関係・サポート体制』については,「方向付け」「監督」「同僚との関係」「上司との関係」に分類できた.対象者が語ったエピソードは低感情体験として述べられることが多く,リアリティ・ッショックの渦中にあると考えられた.その中で「方向付け」のみ高感情体験として語られることが多く,現任教育による「方向付け」は入職初期の離職抑止要因であると考えられた.また,今後の課題として看護基礎教育には,臨地実習に重点をおいた実践的な技術教育の工夫と,ストレス管理の技法も含めキャリア開発支援の必要性が見出され,看護管理の課題として,職場のストレス・マネジメントの必要性が考察された.

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© 2004 一般社団法人 日本看護管理学会
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