2005 年 8 巻 2 号 p. 12-20
本調査研究の目的は,看護師の遡及的診療録レビューにより有害事象の可能性のある症例をスクリーニングすることの妥当性を検証することである.
調査対象は,民間2病院における精神科を除いた退院患者の中から無作為抽出した200症例の診療録とした.そして,豪州の手法を参考にしながら,看護師が有害事象を把握するための18のスクリーニング基準を用いて,遡及的に診療録から有害事象の可能性のある症例のスクリーニングを行う第一次レビュー,続いて医師が有害事象の最終判定を行う第二次レビューを実施した.第一次レビューの妥当性の検証を行うにあたって医師による有害事象の最終判定を基準とした.
第一次レビューにおいては,1名の看護師が1症例のレビューを行う豪州方式とは異なり,本調査研究では,1人目の看護師のレビューによって18のスクリーニング基準のいずれにも該当しないと判定された症例については,指導者である看護師が確認・再判定を行う方式を採用した.
本調査研究の第一次レビューの感度は,豪州よりも高かったことから,看護師による遡及的診療録レビューの妥当性が示された.しかし,レビューの特異度は,有害事象とみなす障害の1つの種類である「本来予定されていなかった濃厚な処置や治療が新たに必要になった」の内容が具体的でなかったことの影響などにより,豪州よりも低かった.本手法を全国的な有害事象を把握するための大規模調査において活用するためには,第一次レビューの高い感度を維持しながら,いかに特異度を上げるかが課題であると考えられる.