2005 年 8 巻 2 号 p. 21-29
本研究は,看護師長は,コンフリクトを認知した相手に対してどのような対処行動をとっているのかを明らかにすることを目的とした.関西地区の2つの国公立病院に勤務する看護師長20名に半構成インタビューによる調査を行った.インタビューによって得られた内容を,グラウンデッド・セオリー・アプローチの継続的比較分析法に基づいて分析した.その結果,以下の知見が得られた.
1.看護師長がコンフリクトを認知した相手に対して用いる≪コンフリクト対処行動≫には,<拒否>,<強制>,<妥協>,<説得>,<宥和>,<譲歩>,<協働>,<装う>,<留保>,<利用>の10個のサブカテゴリーが存在していた.
2.本研究で新たに抽出された<留保>,<利用>,<説得>,<装う>の4つのサブカテゴリーは,そのすべてが非主張的であいまいさを維持するという点で,日本の文化的特徴の影響を反映した行動であることが示唆された.
3.今後の課題としては,規模や組織構造の異なる施設で,参与観察を組み入れたデータ収集を行うこと,データ収集源を看護師長だけでなく,コンフリクトを認知した相手に置き,長期間追試することが必要であると考えられた.