2003 年 13 巻 1 号 p. 21-31
3年制看護短大生の倫理的課題に対する認知と行動の経年的変化を明らかにする目的で、3年間の縦断的調査を実施した。調査は「病名告知」「ケア方針の違い」「対象差別」「臓器移植」「出生前診断」の倫理的課題に関連する5事例に対し「どのように思い行動するかとその理由」の自由記述を依頼した。分析は、認知と行動パターンと経年的変化のパターンを分類し比較を行い、以下の結果を得た。
1. 倫理的課題に対する認知と行動は経年的に変化する。
2. 3年間を通じ「患者の権利」「生命の尊厳」を重視する傾向は変わらない。
3. 問題解決に時間的猶予がない倫理的課題に対しては、経年的に傍観者的行動が増える傾向がある。
4. 学年の進行に伴う知識や実体験は、倫理的課題に対する認知と行動の変化要因になっている。
5. 学生の立場や医療チームの方針は、学生の行動方針を決める上で影響している。
以上の結果から、それぞれの倫理的課題の特徴と学年の進度に応じた看護倫理教育の必要性が示唆された。