2006 年 16 巻 1 号 p. 13-23
本研究の目的は、現在の看護教育で医療廃棄物についてどのような講義を実施しているのか実態を把握し、その講義内容の分析から講義で行う医療廃棄物学習の意義を検討することである。全国の基礎看護教育課程の学校を対象として質問紙調査を実施し、93校から有効回答(30.7%)を得た。指導内容について因子分析(主因子法+バリマックス回転)を行い、5因子を抽出した。各因子は教育的意義と内容から検討し、「安全処理に関わるしくみと連携」、「医療廃棄物の概要」、「感染性廃棄物の管理」、「環境配慮への気づき」、「排出者の役割」と命名した。
講義内容の実施状況についてみると、5因子それぞれの尺度得点の平均値は「安全処理に関わるしくみと連携」が他の因子と比較して有意に低いことを確認した。また、学校別に各因子の尺度得点を比較すると、「感染性廃棄物の管理」についてのみ大学、短大がそれぞれ専門学校よりも得点平均値は高く、有意な差を認めた。