〔目的〕インシデントを経験した看護学生に対してリフレクションの枠組みを活用したデブリーフィングを行うことがインシデント経験からの学びを促進することにどのような意味をもつかを明らかにする。
〔方法〕インシデントを経験した看護学生11名(参加者)に、対話式のデブリーフィングを行なった。デブリーフィングの約1か月後に、半構造化インタビューで収集した録音データを逐語化し、内容分析を実施し、抽出したカテゴリーから構造図を作成した。
〔結果〕428のコードから12の《カテゴリー》が生成された。デブリーフィング前の看護学生は、【インシデントの重荷】を感じていた。デブリーフィング後は、承認がもたらす肯定感により【人としての成長に向かう足場固め】、原因を探り安全認識の芽生えで構成される【専門職としての成長に向かう足場の積み上げ】、前向きに学びでブリーフィングに価値をもちはじめた【成長に向かう足場を強める学び方の気づき】へと変化していた。
〔考察〕本研究でのリフレクションを用いたデブリーフィングの教育的意味は、看護学生のインシデント経験がもたらす負の重荷を、個人・専門職としての成長の足場固めという肯定的な学びに学生自ら変化させ、それを認識していることにあると考える。