2020 年 30 巻 1 号 p. 57-68
〔目的〕膀胱留置カテーテル技術実施における熟練看護師の視線運動と行動の現状を明らかにした。
〔方法〕対象は臨床経験10年以上の看護師。視線運動測定、行動観察、自記式質問紙により、患者に視線を向けた場面、陰部消毒時の視線と手の動きの経時的変化、無菌操作・カテーテル挿入と固定・作業域の確保の方法等を情報収集した。
〔結果〕対象5名。消毒前、カテーテル挿入前等13場面で患者に視線を向けた。消毒時は、視線で陰部を捉えた後、鑷子で綿球を把持した右手を陰部に移動させた。挿入の長さが不確実で、消毒部位の確認と部位ごとに綿球を交換する行為が不適切だった。
〔考察〕熟練看護師は、患者接触前や安楽が阻害される場面で患者に視線を向けた。無菌操作時は、一視野でおさまらない動作を行うため、まず視覚的に情報を収集することで先を予見し、次の行動を組み立てた。一方で、挿入の長さや無菌操作の原理原則を再確認する必要性が示唆された。