要旨:
〔目的〕学生が指導者にほめられたことによる心理的変化と学修への影響を質的研究により明らかにすることである。
〔方法〕私立看護大学2校の4年生14名を対象に、半構造化面接法にてデータ収集し、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。
〔結果〕13概念、7カテゴリーが生成された。学生は指導者からほめられることで、自己決定感と有能感を高め、それらに支えられた動機づけにより自律的な学修を促進させ、実習の満足感を得て、次の実習へ自信や成長を意図的に活かし学修を深めていた。一方、ほめられた内容がほめられるに値しないと感じると不信感につながり、ほめられるだけで指摘や助言がないと学修の停滞へつながることが示された。
〔考察〕ほめによる学生への教育的効果を期待するには、指導者への信頼感に基づく人間関係が重要であり、自己決定感と有能感、メタ認知を高めるほめとともに、学修の自己評価・修正の手がかりとなる指摘や助言が必要であることが示唆された。