1998 年 8 巻 1 号 p. 41-49
卒業時点において看護学生が、「患者へ心理的援助が必要とされる場面」でどのようなコミュニケーションの傾向があるかを明らかにするために、H大学医療技術短期大学部看護学科3年次65名を対象に、質問紙による調査を行った。質問項目は、マイクロカウンセリグ理論をもとに、14技法36項目の具体的な例からなり、どの程度使用しているかを5段階尺度で同答を得た。偏りのない28項目の評定尺度を分析した結果、1)評定の平均を見ると、「閉ざされた質問」が他の7技法より有意に高かった。2)因子分析した結果、「感情のレベルでの理解と反映」「助言・指示など積極的なかかわり方」「要約あるいは言い換え」「相手の自由な反応を促す開かれた問いかけ」の4因子が抽出された。3) それぞれの因子に対する因子得点をクラスター分析した結果、4つのパターンに分かれた。以上のことから、コミュニケーションの基本としてH大学短期大学部の看護教育において強調された内容がそのまま学生の傾向として現れていることが分かった。