1998 年 8 巻 1 号 p. 73-78
基礎看護学は看護学の導入部分を担い、看護の対象をどのように理解するかという大きな課題を負っている。その中で、食事、排泄といった各学習内容が、机上の学習だけでは人の生活という文脈の中でとらえきれず、各単元毎の細切れの知識になりがちであるということを私たちは感じてきた。
しかし、この傾向は実習という学習方法で修正されるのではないかという仮説を下に、学生達がどのような対象理解のプロセスを辿っているかを分析した。
その結果、1) 自分の生活体験を越える他者の存在を知るということ、2) その他者の喜びや苦しみを共感しながら関係を深めるということ、3) さらにその人の生活全体をながめた個別的援助に到達するといった記述が多くみられ、細切れの知識は実習という学習を経ることによって統合されるという過程が認められた。