北ヨーロッパ研究
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特集 北欧諸国における社会的包摂の現在ー欧州議会選挙結果を踏まえて
バック・トゥ・ザ・フューチャー
デンマークとスウェーデンの政治発展と包摂
小川 有美
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 11 巻 p. 1-9

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抄録

共に北欧型福祉国家デモクラシーと呼ばれながらも、スウェーデンとデンマークは、移民の包摂や「福祉排外主義」の定着において異なる姿を示す。 その差異は、民主的な福祉国家に至るレジーム形成局面に遡って分析することができる。すなわち、1. 北欧各国ではナショナル・レジーム、民主レジーム、社会レジームの三つが重層的に成り立っているが、各レジームの確立するタイミングとその政治的規定力は異なった。2.スウェーデンの場合、社会を国家が包摂する社会包摂ステイティズムが先に確立し、ナショナル・レジームの問題が大きな影響をもつことはなかった。3. デンマークの場合、ナショナル・レジームの問題が繰り返し政治化し、「小国」としての民主的なナショナル・レジームが確立した。それは国民国家の枠組みを強調するリベラル・ナショナリズム的な性格を有するものとなった。

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2015 『北ヨーロッパ研究』に掲載された著作物の著作権は,著者に帰属するものとします.
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