北ヨーロッパ研究
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最新号
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特集
論文
  • 石田 祥代, 是永 かな子
    2017 年 13 巻 p. 9-
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では、北欧で実践されている義務教育諸学校を中心とした児童生徒のための支援の特徴と課題の検証を、文献および資料の分析、質問紙調査および聞き取り調査の結果分析により行った。その結果、一つに、デンマークで主に行われる役割分担型モデル:児童生徒に対しては学校中心に支援を行う一方で、児童生徒の保護者に対してはコムーネの福祉当局が中心に支援を行う、もう一つに、ノルウェーとスウェーデンで主に行われる資源連携型モデル:ニーズに応じて柔軟に支援体制を調整する、最後に、フィンランドで主に行われるインクルーシブ教育モデル:通常学校内に3 段階の特別支援体制を設け、校内で包括的に支援することを試みる、を提示した。そして、各国によって支援の特徴は多少異なるものの、各専門職が役割を担い、ネットワーキングを用いて支援システムを構築していることが明らかとなった。地域性と実践例の検討を加え、我が国における実効性と有用性のある児童生徒のための新たな支援システムモデルを提言することが今後の課題である。
  • 佐藤 桃子
    2017 年 13 巻 p. 21-
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル オープンアクセス
    デンマークの保育所では、他の社会サービスと同様に利用者委員会の設置が義務化され、保護者が積極的に保育所運営に関与している。本稿では、保護者会の制度化、保育サービスの民営化という歴史的背景から、保育サービスにおいて保護者の関与が拡充されてきた経緯をまとめ、さらにA 市の公立保育所と私立保育所の保護者に対するインタビュー調査の分析を行い、保護者が参加する経路がどのように確保されているかを考察した。A 市の事例より、公立保育所と私立保育所では異なる経路で保護者が運営に関与しており、私立保育所では保護者会が予算や園長の人事などを担う直接の運営主体になっていることが明らかになった。保護者の参加の経路は公立・私立保育所で大きく異なるが、保育サービスの歴史的な発展の中で保護者の関与が大きな役割を果たしていることが示された。
  • 塩田 潤
    2017 年 13 巻 p. 35-
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル オープンアクセス
    2012 年に設立されたアイスランド海賊党が、近年大きな支持を受けている。長らく主要四党が安定した政党政治システムを築いてきたアイスランドにおいて、なぜこのような現象が起きているのだろうか。本稿では、同国におけるこれまでの閉鎖的な政治的意思決定プロセスへの応答という視点からアイスランド海賊党の台頭を検証する。戦後から1990 年代以降の新自由主義時代に至るまで共通する閉鎖的な政治的意思決定プロセスというアイスランドの政治文化は、2008 年の経済危機を招くひとつの要因となった。排除性の強いこれまでの政治への応答として近年ICT システムを用いて政治的意思決定プロセスにより幅広い人々を包摂しようと試みるアイスランド海賊党が支持されていると考えられる。
研究ノート
  • 佐藤 温子
    2017 年 13 巻 p. 45-
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、フィンランドにおける放射性廃棄物処分政策形成を巡る歴史的背景を、ドイツとの比較の視座から分析することを目的とする。Högselius(2009)の挙げる、世界の使用済み核燃料処分政策の相違に関する5つの説明要因のうち、特に軍事的野心と核不拡散、政治的文化と市民社会、エネルギー政策を扱う。両国とも核兵器を所有しないが、ドイツにおいては冷戦を背景に一時核武装論へと傾斜、核不拡散条約を巡り公に国内で対立、核武装疑惑につながりうる再処理を1989 年まで追求した一方、フィンランドにおいては北欧非核兵器地帯(NWFZ)協定構想が提案され、1980 年頃に再処理の選択が放棄された。さらにフィンランドでは東西両陣営からの原発を有しており、反原発運動が分断された。フィンランドが世界で初めて高レベル放射性廃棄物処分場計画を決定した理由の一つに、冷戦の文脈で、強い反原発運動が不在だったことが指摘されうる。
  • 藪長 千乃
    2017 年 13 巻 p. 53-
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル オープンアクセス
    フィンランドの教育輸出プロジェクトは、2010 年に策定された教育輸出戦略を出発点として本格的に開始した。主要言語圏の高等教育での展開にほぼ独占された国際教育市場においてユニークな存在である。本稿は、このユニークネスを生み出した背景について、政府公式文書、専門家への聞取調査結果等をもとに、教育輸出に至った経緯と理由、他国の一般的な状況との比較、事例を通じて、2010 年代半ばまでの状況を検討した。フィンランドは、高等教育だけでなく、初等・中等教育を含めた教育システムを商品とするという独自性を活かし、新たな市場開拓をしつつある。このような独自性を持つ一方で、事業展開を詳細にみると、留学からオフショア教育へ、開発から貿易へという国際教育市場の2 つの大きな変化に沿ったもので、途上国等での高等教育需要などの環境変化の増大に対応したものであった。
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