デンマークの保育所では、他の社会サービスと同様に利用者委員会の設置が義務化され、保護者が積極的に保育所運営に関与している。本稿では、保護者会の制度化、保育サービスの民営化という歴史的背景から、保育サービスにおいて保護者の関与が拡充されてきた経緯をまとめ、さらにA 市の公立保育所と私立保育所の保護者に対するインタビュー調査の分析を行い、保護者が参加する経路がどのように確保されているかを考察した。A 市の事例より、公立保育所と私立保育所では異なる経路で保護者が運営に関与しており、私立保育所では保護者会が予算や園長の人事などを担う直接の運営主体になっていることが明らかになった。保護者の参加の経路は公立・私立保育所で大きく異なるが、保育サービスの歴史的な発展の中で保護者の関与が大きな役割を果たしていることが示された。