本稿では、北欧で実践されている義務教育諸学校を中心とした児童生徒のための支援の特徴と課題の検証を、文献および資料の分析、質問紙調査および聞き取り調査の結果分析により行った。その結果、一つに、デンマークで主に行われる役割分担型モデル:児童生徒に対しては学校中心に支援を行う一方で、児童生徒の保護者に対してはコムーネの福祉当局が中心に支援を行う、もう一つに、ノルウェーとスウェーデンで主に行われる資源連携型モデル:ニーズに応じて柔軟に支援体制を調整する、最後に、フィンランドで主に行われるインクルーシブ教育モデル:通常学校内に3 段階の特別支援体制を設け、校内で包括的に支援することを試みる、を提示した。そして、各国によって支援の特徴は多少異なるものの、各専門職が役割を担い、ネットワーキングを用いて支援システムを構築していることが明らかとなった。地域性と実践例の検討を加え、我が国における実効性と有用性のある児童生徒のための新たな支援システムモデルを提言することが今後の課題である。