抄録
学習課題の困難度とそれに及ぼす正反応電撃の効果を吟味するためにこの実験は企画されたが, 結果は明らかに選択後の正反応電撃が学習を促進的ならしめることを示しMUENZINGERの主張を支持しWISCHNERに否定的である。MUENZINGERと異なる点は電撃の影響性が既に学習初期段階において著明に見出されたこと, 及び, 30-100 μA と30-180μA電撃群間に有意な差がみとめられなかったことで, これにより敏感性にもとづく学習促進機能と電撃の有害刺激によるところの回避機能に関する従来の MUENZINGER仮説に不充分な点をみとめ筆者等は場の認知における知覚体制の分化過程と電撃事態への行動的適応過程とに対応性のあることを指摘して, 電撃に依る促進効果は両過程の調和的な相互関係に依存することを仮定した。