2019 年 19 巻 1+2 号 p. 139-149
本稿は,NPOと行政の協働の場面における妥当な政治活動のルールを議論する第一段階として,市民活動促進条例における政治活動規制について,第一に全国の条例に含まれる規制条項の制定状況と内容を把握し,第二に,規制条項の議会での審議過程を整理することによって,その現状と問題点を示した.その結果,条例全体の45%になんらかの政治活動規制条項があり,その多くは特定非営利活動促進法の政治活動規制(2条2項2号)に準拠した規制枠組みを設けていることがわかった.課題として,憲法21条1項に抵触するおそれのある政治活動規制条項が,議会でほとんど議論されることなく策定され,条例制定の全国的な広がりを経て,条項が非常に多様な形となり,NPOセクターの法人格の中で最も詳細で厳しい政治活動規制よりも厳しい規制条項が存在していることを示す.