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Print ISSN : 1346-4116
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論文
  • ―まちづくりNPOのプーリング・データ分析―
    岩田 憲治
    原稿種別: 研究論文
    2025 年25 巻1 号 p. 19-31
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/10/08
    ジャーナル フリー

    NPOの規模は,人口減少により影響を受けると考えられる.しかしこの事象は,実証的に明らかにされていない.本稿は,人口減少によるまちづくりNPO密度の増減を実証分析した.法定のまちづくりの推進分野に,観光の振興と農山漁村・中山間地の振興を加えた3分野を,本稿はまちづくり活動とした.この3分野の法人数は,日本のNPO数を代表する分野の一つである.19都道府県の2013年~2019年度の事業報告書等に基づき,市区町村別・まちづくりNPO密度のプーリング・データを作成した.人口減少を,社会増減率,出生率と死亡率に分けて分析した.この方法により,人口が減少する自治体ほど,まちづくりNPO密度が高いことを確かめた.

  • ─インタビューから読み解く若者の意味世界─
    許 晟源
    原稿種別: 研究論文
    2025 年25 巻1 号 p. 33-47
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/10/08
    ジャーナル フリー

    本研究は,若者の新型コロナウイルス感染症に関する寄付行為を,シンボリック相互作用論の視点から分析したものである.支援を受ける立場と考えられていた20代の若者が,コロナ禍において他世代と同等かそれ以上の寄付行動を示したという現象が確認された.半構造化インタビューとグラウンデッド・セオリー・アプローチに基づく分析を通じて,若者が寄付を行った理由と寄付の後にとった行動を分析し,それぞれ四つのカテゴリーを抽出した.若者の寄付行為にはそれなりの目的が伴うものの,その理由は固定的ではなく,語りの中で構築・調整されていること,また若者たちは,寄付を通じて社会参加しつつも,その行為がどのように受け取られるかを慎重に考えていることが明らかとなった.本研究は,寄付の理由や動機に関する先行研究では十分検討されてこなかった若者の寄付について,彼・彼女らの意味世界から迫り,寄付を個人的な決定としてではなく,若者が社会との関わりの中で意味づけを模索する社会的実践として捉える視点を提示する.

  • ─国政・地方政治における資源とネットワークの役割─
    大倉 沙江, 小谷 幸, 金 美珍, 三浦 まり
    原稿種別: 研究論文
    2025 年25 巻1 号 p. 49-61
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/10/08
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は,筆者らが女性団体に対して実施したサーベイ調査を用いて,日本の女性団体がどの程度の資源を持っているのか,またそれを活用してどのようにアドボカシーを行っているのかという実態を明らかにすることである.特に,アドボカシーの水準を規定する要因として,組織が有する資源やネットワークとの関係に焦点を当て,いかなる要因がアドボカシーを促進しているのかを検討した.さらに,その知見に基づき,アドボカシーの活性化に資する支援策のあり方についても考察した.分析の結果,女性団体は他の市民社会組織と比較して,財政的・人的資源は脆弱な傾向にあるものの,地方政治レベルを中心に,半数が何らかのアドボカシーを行なっていることが示された.国政レベルでは,会員数の多さが活動量を規定するが,地方政治レベルでは資源は正の方向での規定力を持たない.国政・地方政治のいずれにおいてもネットワークが重要であり,国政レベルでは政党などとの関係を,地方政治レベルでは行政との関係を基盤に活動を行なっている.女性団体のアドボカシーを活性化させるためには,財政支援,専門性などの人的支援が重要だが,同時に女性やジェンダー問題に理解のある議員や行政職員の増加も鍵となることが明らかになった.

研究ノート
  • ―鞆の浦のまちづくりの新たな展開におけるアクター間の認識分析―
    藤本 直樹, 桜井 政成, 森 道哉
    原稿種別: 研究ノート
    2025 年25 巻1 号 p. 63-72
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/10/08
    ジャーナル フリー

    鞆の浦は,鞆港の埋め立て・架橋計画を起因とした景観紛争が約30年にわたり続いた地域である.本研究は,計画廃止後の2016年以降に焦点を当て,対立後の鞆の浦における観光まちづくりに関わるアクター間の相互認識の変容を明らかにすることを目的とした.解釈的現象学的分析(IPA)により,行政,NPO,移住者の間には依然として立場に応じた認識のズレが残存している一方,「人と環境の共生」という共通価値を通じた協働の可能性が芽生えつつあることが確認された.また,これまでのまちづくりを支えてきた「集合的記憶」依拠の限界が顕在化し,代わって「場所の感覚(sense of place)」に根ざした新たな価値共有が求められている現状が明らかとなった.本研究は,対立後の地域社会における関係性と価値基盤の変容過程を示し,観光政策・計画における「関係性としての価値」重視の視点の重要性を提起するものである.

  • ─カリフォルニア州の事例から─
    西川 可奈子, 高田 雅之
    原稿種別: 研究ノート
    2025 年25 巻1 号 p. 73-83
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/10/08
    ジャーナル フリー

    日本では民間等によって生物多様性の保全が図られている区域の「自然共生サイト」への認定の動きがあり,自然保護を行うNGO,NPO等の非営利団体(自然保護団体)への期待が高まっている.日本の自然保護団体が資金・人材不足の課題を抱える一方で,米国自然保護団体にはこれらが確保されており,その獲得手段が明らかになれば日本自然保護団体の持続可能な活動の実現に向けた示唆が得られると考える.しかし,米国の自然保護団体がどのように資金・人材を確保しているのか実態の分かる先行研究は見当たらない.そこで,本研究はカリフォルニア州の自然保護団体と大学ボランティア関係者に半構造化インタビュー等を行い,調査対象とした自然保護団体は最小限の人数で組織運営を行い,多くの学生ボランティアを取り込んで活動を行い,組織の運営・活動効率を高めていることが明らかになった.背景には,米国の進学,就職のために多くの学生がボランティアに参加する社会的規範と寄付文化があった.

博士学位論文要旨
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