本論文は,NPOに対し不信の眼差しを向けられているというデータを出発点として,その背景について検討したものである.先行研究から,政治・党派性忌避と偽善忌避という二つの仮説を設定し,JGSS〈2012〉データの二次分析と,新聞記事の計量テキスト分析及び内容分析という手法で,その妥当性を検証した.そのうち政治・党派性忌避の効果は,本分析の範囲では十分に認められなかった.逆に新聞記事分析から見えてきたのは,NPOという語と政治,運動,市民に関する言葉との連関が弱まってきたことである.他方,偽善忌避に関しては,どちらの分析でも支持された.記事分析では,NPOの記事の総数が減る中で不正に関する記事の割合は増えた事が分かり,それがNPOの偽善イメージを強化する恐れがある.不正の背景には新自由主義的な制度環境があり,それを改善することがNPOへの連帯を生み出すことにつながると考えられる.