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Print ISSN : 1346-4116
特集 参加と連帯の現在
連帯の技法としてのコミュニティ・オーガナイジング
―イースト・ロンドンにおけるコミュニティ開発の現場から―
藤井 敦史
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2021 年 20 巻 2 号 p. 107-115

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抄録

本稿は,イースト・ロンドンのコミュニティ開発の現場で用いられている連帯の技法であるシティズンズUKのコミュニティ・オーガナイジング(以下,COと略)について取り上げ,その特徴と意義について論じることを目的としている.COのエッセンスは,人々の自己利益を明らかにし,共有できる集合的な利益を構築することで,人々の間の関係性,すなわち,信頼関係や協力関係を作り上げ,社会変革を可能にするパワーへと変換していくということにある.そして,実際のアクションの際には,抽象的で曖昧な問題を責任の所在が明確で,取り組み可能な具体的課題へと分解してターゲットを明確にした上で,試行錯誤と学習を続けながら漸進的に社会変革を目指す.このようなCOは,異質なものの間の連携を作り出すことが下手な日本の市民社会にとって重要な連帯の技法となるのではないだろうか.また,今日,「政治的疎外感」が蔓延している中で,COは,「分断のポピュリズム」を越えて,真の意味での「民主的なポピュリズム」の形成にとって資するものと言えるだろう.

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© 2021 Japan NPO Research Association
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