2022 年 22 巻 1 号 p. 61-66
岡山県内における教育・文化分野の活動に助成を行う公益財団法人福武教育文化振興財団は,過去の助成対象者の現状とニーズを知るために,県内の中間支援組織である特定非営利活動法人岡山NPOセンター並びに研究者と協働して,アンケート調査を実施した.その結果として,回答者の多くが助成を受けた活動を続けていること,財団の助成が信頼を得るなど基礎固めに役に立っていること,更に助成金以外にも多様な支援に対するニーズがあることがわかった.また最近10年の地域の変化について,都市部より非都市部で相対的にポジティブな評価がなされていた.一方で財団の助成対象者の多くは必ずしも規模の拡大を志向せず,同じ活動の継続を希望する者も多いことが窺われた.本調査のような多様な関係者の協働による調査実施は,多様なリソースや知見を寄せあえるという利点があるとともに,企画構想の段階から関係者が緊密に相談を行い,調査の目的や使い方や調査設計について合意を得る必要性が確認された.