2024 年 23 巻 1+2 号 p. 25-35
世界的なパンデミックとなった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,市民社会にとって,どのような出来事と特徴づけることができるだろうか.本稿は,COVID-19と市民社会をめぐって展開された英語を言語とした研究動向から,この問いに迫るものである.学術データベースWeb of Scienceにて,関連する7つのキーワード(Nonprofit・NPO・Volunteer・Social Movement・Civil Society・Charity・Activism)を用いた検索を行い,2020年1月1日から2022年5月31日の間に出版されたジャーナル論文1,834本を分析対象とした.論文タイトルやキーワード,概要を対象としたテキスト分析を手がかりに,1)パンデミック下におけるアクティビズムの台頭と変容,2)ボランティアの実態把握と参加要因の探求,3)コミュニティでの支援活動とレジリエンス,4)非営利組織(NPO)の経営への影響,5)政府・公共セクターとの多様な関係,といったテーマに着目した研究が展開されたことを明らかにした.