本稿の目的は,筆者らが女性団体に対して実施したサーベイ調査を用いて,日本の女性団体がどの程度の資源を持っているのか,またそれを活用してどのようにアドボカシーを行っているのかという実態を明らかにすることである.特に,アドボカシーの水準を規定する要因として,組織が有する資源やネットワークとの関係に焦点を当て,いかなる要因がアドボカシーを促進しているのかを検討した.さらに,その知見に基づき,アドボカシーの活性化に資する支援策のあり方についても考察した.分析の結果,女性団体は他の市民社会組織と比較して,財政的・人的資源は脆弱な傾向にあるものの,地方政治レベルを中心に,半数が何らかのアドボカシーを行なっていることが示された.国政レベルでは,会員数の多さが活動量を規定するが,地方政治レベルでは資源は正の方向での規定力を持たない.国政・地方政治のいずれにおいてもネットワークが重要であり,国政レベルでは政党などとの関係を,地方政治レベルでは行政との関係を基盤に活動を行なっている.女性団体のアドボカシーを活性化させるためには,財政支援,専門性などの人的支援が重要だが,同時に女性やジェンダー問題に理解のある議員や行政職員の増加も鍵となることが明らかになった.