抄録
段ボール原紙のにおいはさまざまな物質による複合臭であることが知られているが、どのような物質がにおいに高く寄与しているかはあまり知られていない。本研究では段ボール原紙に含まれる低級脂肪酸に着目し、抽出法の検討および、におい嗅ぎガスクロマトグラフ(Sniff-GC)を用いた香気抽出物希釈分析:AEDA (Aroma Extract Dilution Analysis)法によって、それぞれの低級脂肪酸のにおい寄与率をFDファクター(Flavor Dilution Factor)として評価した。段ボール原紙に含まれる低級脂肪酸類はジエチルエーテルによって容易に抽出された。各低級脂肪酸のFDファクターを評価したところ、用いたサンプル全てにおいて、n-吉草酸、イソ吉草酸が高い値を示し、低級脂肪酸の中ではこれらがにおいへの寄与率が高いことが示唆された。