2012 年 43 巻 6 号 p. 395-400
日本において40年程前までは,臭気の測定は注射器法で行われていた.しかしこの注射器法には,容量の不足,臭気の吸着ロス,客観性の不足などのいくつかの欠点があった.そのため,信頼できるデータを得ることは難しかった.それらの欠点を改良する形で,三点比較式臭袋法を開発した.この著述においては,三点比較式臭袋法ができるまでの経緯,考え方,すなわち注射器から臭袋への変更,三点比較法の導入,袋の材質の選定等について記載している.特に嗅覚閾値の考え方,およびパネルの人数および選定にかかわる嗅力測定の状況についても記載した.