自閉症スペクトラム研究
Online ISSN : 2434-477X
Print ISSN : 1347-5932
実践研究
自閉症のある患者の歯科外来診療への スモールステップ化したオリエンテーション
伊藤 政之竹蓋 菜穂
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 10 巻 3 号 p. 55-66

詳細
抄録

自閉症の方の歯科受診には困難が伴う。歯科診療には多くの刺激があり、無痛的に治療するはずの局所麻酔の刺入に痛みが伴うことがある。また、耳からくる音、薬のにおい、口に触れる感じ、はさまれる感じ、横になった時の姿勢を維持すること、それらの刺激に対応していかなければならない。また、過去に病院で嫌な思いを経験した人や、新しい環境に慣れにくい人は、病院の玄関で止まってしまう、車から降りてこないという場合もある。診療室の入り口までは来ても、室内へは入ってこられない人、治療椅子には座れない人もいる。歯科医師と患者の間でなかなかコミュニケーションがとれないことも多い。これらの困難に適応してもらうために「オリエンテーション」を実施する。いかなる重度の障害があったとしても、その人に応じた方法で治療の場面に適切な対応可能な状況を設定できるようにするのが「オリエンテーション」の考え方である。歯科診療を受診するまでにさまざまな経過がある自閉症の方々の「オリエンテーション」の受容過程を報告、検討する。

著者関連情報
© 2013 NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会
前の記事 次の記事
feedback
Top