自閉症スペクトラム研究
Online ISSN : 2434-477X
Print ISSN : 1347-5932
実践報告
知的障害特別支援学校専攻科における移行支援教育の実践
知的障害を伴う自閉症スペクトラム学生の事例を通じて
藤原 章
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2015 年 13 巻 1 号 p. 29-38

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抄録

2006 年4 月、国公立特別支援学校全国初となる高等部専攻科1 年目の挑戦がスタートした。この実践報告は、当時初代専攻科主任であった私の実践に再検討を加えたものである。この専攻科は、「学生一人ひとりの“自分づくり”を支援して、自立した豊かな社会生活に移行する力」を育てることを目的としていた。特色は、高等部本科までの自己肯定感の積み上げを土台にして、「より自分で解決に取り組んだり」、“七転び八起きの自分づくり”にチャレンジしたり、青年としての生き方を考えてアイデンティティを確立しようとするところにある。一人ひとりの発達・障害・生活の視点から「自分づくり」の段階を検討した支援仮説を設定し、5 領域の教育課程で学び「専攻科での自分づくり」に挑戦している。この工夫した課題を学生が自己選択・自己決定し、実践中は見守り、その後の振り返り活動を通じた成功や迷いによる揺れの“間”や再チャレンジの“場”を保障し、より自立的な自己肯定感に高めようとした。スタートから9 年後の今、当時の学生の事例から学び、移行支援の取り組みを再検討する意義は大きいと考える。

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© 2015 NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会
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