2017 年 14 巻 2 号 p. 53-57
■要旨:本研究では、2008 年度から全国に導入されたスクールソーシャルワーカー活用事業で勤務する、経験豊富
なチーフスクールソーシャルワーカー、スーパーバイザー等に対して、インタビュー調査を行った。発達障害が疑われる事例に対してどのように関わりを持つことが有効であるのかを調査し、疑いのある事例に対しては、どのように関わりを持つことが有効であるのかを明らかにすることを目的とし調査を実施した。質的データ分析を行った結果、<A 外部機関受診の前に充分な説明と支援を行う><B 環境を変えていくために家庭を支援する><C 診断後の保護者と学校の橋渡し役>の3 つのカテゴリーが抽出された。経験豊富なスクールソーシャルワーカーが関わることによって、家庭の状況に合わせた支援を選択し、問題行動の背景には何があり、どこを修正すれば良いのかというポイントを整理した結果、両者の関係修復につながっていくことが示された。本研究の結果について、問題が大きくなる一歩手前で予防的に関わるためにはどのような工夫が必要であるのか、人と環境の相互作用に着目し環境を変えていく手法が何故有効なのかについて考察を行った。