自閉症スペクトラム研究
Online ISSN : 2434-477X
Print ISSN : 1347-5932
実践研究
認定こども園における自閉スペクトラム症児に対する社会的遊びの支援
遊びの選定方法と支援の効果の検討
藤原 あや園山 繁樹
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2018 年 15 巻 2 号 p. 25-35

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抄録

本研究は、認定こども園に通う自閉スペクトラム症児1 名を対象に、3 つの社会的遊びについて支援を行い、保育場面における社会的遊びの選定方法と支援の効果を検討することを目的とした。支援の対象となる遊びを選定するための調査として、保育場面における遊びの観察、社会的遊びのアンケート、担任への聞き取りを実施した。これらの調査から対象児が参加しやすい遊びの条件として、簡単なルールがある、することが視覚的に理解できる、始まりや終わりが明確であることなどが考えられた。そこで、対象児の参加が困難であったごっこ遊びにおいてはやりとりに簡単なルールがあり、そのやりとりが品物の受け渡しによって視覚的に理解できる「薬屋さん」への参加を目標とした。また、屋外の自由遊び場面においてはルールがあり対象児の好みの要素が含まれている「絵合わせ」「おいも運び」への参加を目標とした。支援は、認定こども園の自由遊び場面においてモデルやプロンプトを用いて実施した。その結果、ごっこ遊びへの参加時間や他児とルールを共有して遊ぶ時間が増加した。これらの結果から、支援の対象となる遊びを選定する際に対象児が参加しやすい遊びの条件や対象児の好みを踏まえることが重要であると考えられた。また、遊びの性質上、対象児にとって参加が困難であると考えられる場合でも参加しやすい条件を組み込むことで参加が可能になることが示唆された。

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© 2018 NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会
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