日本精神保健看護学会誌
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精神科慢性期開放病棟における看護行為に伴う"制限"の要素とその構造
畠山 卓也
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2010 年 19 巻 1 号 p. 12-22

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抄録

本研究は,精神科慢性期開放病棟(以下,X病棟)においてフィールドワーク(参加観察)を行い,マイクロエスノグラフィーの手法を通して,精神科慢性期開放病棟における看護行為に伴う"制限"の要素とその構造を明らかにすることを目的としている.フィールドワークを通して観察した場面を19のエピソードに整理し,分析した結果,X病棟における看護行為に伴う"制限"は,《"制限"の内容》《"制限"の理由》《"制限"の方法》《"制限"に対する患者の反応》《"制限"する方法の見直し》という5つのカテゴリーから構成されていた.X病棟における制限の本質的な意味は,「患者や患者の属する集団が安定した状態を維持し続けるための行動」である."制限"の実施に当たっては,患者の自己決定よりも医療者の判断や家族の考え方が優先される場合が多く,医療者や家族の患者に対する責任が影響していた.また,患者が"制限"に抵抗を示さない場合,"制限"は漫然と繰り返されることが多いことが示されていた.

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© 2010 一般社団法人日本精神保健看護学会
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