日本精神保健看護学会誌
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原著
  • ―離職と就労継続を左右する要因の検討―
    須田 晶子, 出口 禎子
    原稿種別: 原著
    2022 年 31 巻 2 号 p. 1-9
    発行日: 2022/11/30
    公開日: 2022/11/30
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    民間精神科病院で働く新人看護師の精神科看護の体験から,離職を考えた要因および離職を思いとどまった要因について把握し,離職予防支援を行うため,新人看護師8名にインタビューを行った.その結果,【精神科看護師を続けることへの迷い】の関連事項として,患者からの攻撃対象となった体験,日々の患者との関わりに確信がもてずにいること,看護人員の少ない夜勤帯への不安が抽出された.その一方で,【精神科看護師の魅力ややりがい】として,患者との関わりに手ごたえを得たり,患者との関わりに癒された体験が抽出された.この結果からは,離職に最も関連する要因は患者からの攻撃対象となることであり,他方,潜在的な離職につながり得る要因は患者との関わり方に確信がもてないことであると考えられた.新人看護師が職務を継続するためには,先輩看護師のこれまでの精神科看護の体験を聞く機会を設けること,また近い年齢の看護師同士で精神科看護の体験を自由に語り合う場を設けることが支援となると考えられた.

  • ―精神科閉鎖病棟での参与観察から―
    伏見 友里
    原稿種別: 原著
    2022 年 31 巻 2 号 p. 10-18
    発行日: 2022/11/30
    公開日: 2022/11/30
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    本研究は,特有な関わりづらさがあり,原因がはっきりとしない身体症状を訴え続ける患者との関わりのプロセスから,なぜ患者は身体を通して訴えるのか,その背景には何があるのかを考察することを目的とした参与観察を用いたフィールドワークによる質的記述的研究である.研究参加者は精神科病院に長期入院している女性患者2名である.フィールドワークを1年間で全50回行った.身体を通して訴える患者の特有な関わりづらさには不安定なアタッチメントパターンがあった.彼女らの語りから,その背景には外傷体験による孤立無援感があることが分かった.身体症状が持つ意味として,【人を近づける方法】【入院していることへの意味づけ】があった.私との関わりの中で,彼女らは【語りの変化】【受動性から能動性へ】【感情表出】の変化がみられ,関わりの中での私の役割として【そばに居続けること】【証人】【身体ケアを含めた時間を決めた関わり】があった.

  • 福浦 善友, 舞弓 京子, 藤原 由泰, 松島 亜希子
    原稿種別: 原著
    2022 年 31 巻 2 号 p. 19-27
    発行日: 2022/11/30
    公開日: 2022/11/30
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    入退院を繰り返す成人中期患者への精神科病棟看護師が抱く葛藤を明らかにし,退院支援に関わる看護師を支援する方策を検討した.20名の看護師に半構造化面接を行った.修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した結果,19概念,8カテゴリー,1コアカテゴリーが生成された.

    看護師は,再入院患者に【無力感】を抱き,役割だからと【妥協】し関わっていた.入院中【家族に対する困惑】,【患者に対する困惑】,【態度が軽率に見えてしまう苛立ち】など《ズレによる困惑》を抱えながら葛藤を深め,【退院支援からの逃避】や【退院支援に関われないもどかしさ】を抱いたまま退院を迎えていた.一方【ズレを察知】する看護師もいたが,退院支援には至っていなかった.

    看護師は,患者・家族とのズレを埋められず,同世代の患者へ怒りを投影していた.退院後のイメージに向けて同行訪問や就労支援への参加が重要であることが示唆された.

  • 森脇 勉一, 冨川 順子
    原稿種別: 原著
    2022 年 31 巻 2 号 p. 28-37
    発行日: 2022/11/30
    公開日: 2022/11/30
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    本研究の目的は,急性期症状により精神科救急病棟の保護室に入室している統合失調症患者への看護実践を明らかにすることである.5年以上の精神科病棟での経験,且つ3年以上の精神科救急病棟での経験を有する看護師8名を対象とし,参加観察と半構造化面接を行った.分析の結果,46のサブカテゴリと16のカテゴリ,4の大カテゴリにまとめられた.看護師は,急性期症状により精神科救急病棟の保護室に入室している統合失調症患者の保護室入室から退室まで『判断した精神機能の状態に合わせた制限緩和を行う』ことを基盤として,急性期症状が常に見られる時には『安全に行動制限を行いながら生活支援を行う』,患者と疎通が取れる時間が増えてくると『安心を提供しながら回復のための安静を維持する』,日常生活が自立してくると『日常生活を見守りながら退院支援につなげる』という患者の精神機能の回復に合わせた看護実践を行っていた.

  • 濱田 由紀
    原稿種別: 原著
    2022 年 31 巻 2 号 p. 38-47
    発行日: 2022/11/30
    公開日: 2022/11/30
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    目的:メンタルヘルス領域のピアスタッフと働く専門職者が,ピアスタッフとの協働にむけてどのような経験をしているかを明らかにすることである.

    方法:ピアスタッフと1年以上一緒に働いた経験をもつ精神保健福祉士,看護師等の専門職者15名に,インタビューガイドを用いて1対1での面接を行った.逐語録を質的記述的に分析した.

    結果:ピアスタッフとの協働にむけて専門職は,〈対等な関係・対等な参加の機会をつくる〉,〈ピアスタッフから学ぶ〉を中心に,〈ピアスタッフの強みを理解する〉,〈ピアスタッフの悩みを理解する〉,〈ピアスタッフの体調をみる〉,〈実践を通して仕事に慣れる機会をつくる〉,〈社会経験に応じたサポートをする〉関わりと,〈ピアスタッフが孤立しないような職場環境をつくる〉,〈ピアスタッフとの協働への抵抗を認識する〉,〈雇用方法を検討する〉ことを行っていた.

    考察:ピアスタッフとの協働にむけて,対等性・相互性というピアサポートの特徴的な関係性を組織の中に内包し,ピアスタッフが仕事を続けられるような職場環境を構築することが求められる.

  • 土岐 弘美, 田井 雅子, 野嶋 佐由美
    原稿種別: 原著
    2022 年 31 巻 2 号 p. 48-57
    発行日: 2022/11/30
    公開日: 2022/11/30
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    目的:本研究の目的は,軽度認知症の人の語りから軽度認知症の人がとらえる自己を明らかにすることである.方法:質的帰納的研究方法を用い,認知症の診断後,地域生活を継続している15名の研究協力者に半構造化面接を行った.結果:軽度認知症の人の語りからみる自己のとらえは《縮小する自己》《心やすまらない自己》《遊離する自己》《知恵を活用する自己》《連続性を保つ自己》の5つが明らかになった.結論:軽度認知症の人の語りからみる自己のとらえは,認知障害や診断を受けた影響による自身や他者との多元的な相互作用により,縮小や遊離した世界の中で心がやすまらず苦悩にとらわれていた.しかし懸命に知恵を駆使し,連続性を保つことで自分らしい人生を懸命に生きていた.本知見をもとに言動の意味を丁寧に解釈し,看護ケアを展開することは,認知障害の影響によって生じる自己の存在の不確かさを軽減し,生きる活力を支えると考える.

資料
第32回日本精神保健看護学会学術集会
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