日本精神保健看護学会誌
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精神障害者の自助の心理教育プログラム「当事者研究」の構造と精神保健看護学への意義 : 「浦河べてるの家」のウェブサイト「当事者研究の部屋」の語りのテキストマイニングより
大高 庸平いとう たけひこ小平 朋江
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2011 年 19 巻 2 号 p. 43-54

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抄録
統合失調症などの精神障害者にとって病気からの回復に有効な心理教育プログラムとして当事者研究がある.浦河べてるの家では,当事者の苦労を語り仲間とともに研究して解決策を探る当事者研究を紹介するサイトを公開している.本研究の目的はこのサイトを分析することにより当事者研究の語りを分析し,その特徴を明らかにすることであった.精神障害者の語りの分析にはテキストマイニングの手法を用いた.結果として「自分」「苦労」「人」「仲間」「病気」などの単語が多用されていた.ネットワーク分析により,当事者が自分自身を取り戻す回復のために,仲間とともに当事者研究によって考えるという特徴が明らかにされた.当事者の苦労を仲間とともに取り戻すという回復の構造が確認された本研究の結果から,当事者同士による相互援助活動の重要性が指摘された.また,ナラティブ教材として,このサイトが精神保健看護学教育に利用できることを提案した.
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© 2011 一般社団法人日本精神保健看護学会
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