日本精神保健看護学会誌
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精神科熟練看護師が捉えたうつ病患者に対する退院支援を判断するための患者の反応と介入過程
齋 二美子
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2011 年 20 巻 1 号 p. 10-20

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抄録
本研究は,精神科熟練看護師(以下,対象者)6名を対象に,対象者が捉えた退院支援を判断するためのうつ病患者の反応と介入過程についてインタビューを行い,質的に分析した.その結果,対象者が捉えた退院支援を判断するためのうつ病患者の反応は,《他者につながる》,《現実に直面して揺らぐ》,《現実的に自己と折り合う力が回復する》など12のカテゴリーが抽出された.退院支援の介入要素は,【持つ力を探る】,【関心を寄せて動きを広げる】,【揺らぎをチャンスと捉えて対処の幅を広げる】,【現実的に自己と折り合う力を広げる】の四つから構成されており,[現実的に自己と折り合う力の回復を支える]プロセスを踏んでいた.入院初期から退院を見据えた退院支援を提供していくためには,看護師は患者に関心を持ち続け,患者が持つ力を見極め,経時的な変化の特徴を十分考慮してかかわり,回復していることを意識させていく必要がある.そのうえで,患者と具体的課題を共有した退院支援を行い,現実的に自己と折り合う力の回復を支えていくことの必要性が示唆された.
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© 2011 一般社団法人日本精神保健看護学会
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