日本精神保健看護学会誌
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地域で生活する統合失調症患者の主観的QOLの実態と精神科訪問看護との関連
下原 美子
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2012 年 21 巻 1 号 p. 1-11

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抄録
本研究の目的は,地域で生活をしている統合失調症患者の主観的QOLの実態と精神科訪問看護への満足度の関連を明らかにすることである。対象者はA県内の訪問看護開始から5年未満で,入退院を繰り返しているが通算2年以上の地域生活経験のある統合失調症患者30名である。生活満足度スケールと精神科訪問看護満足度質問紙を使い,面接調査を行った。また,医療記録から臨床特徴について抜粋を行い,主治医にBPRSの記載を依頼した。記述統計や分散分析,また相関係数を求めた結果,精神障害者の主観的QOLは先行研究の健常者に比べると低く,臨床特徴と精神症状は主観的QOLと関連していなかった。精神科訪問看護満足度と主観的QOLについても関連しているとはいいがたく,訪問看護へのニーズは満たされているが,地域生活をするうえでは現状に妥協をすることで生活に適応し,主観的QOLを低くしている可能性があり,精神障害者にとって,精神科訪問看護への満足度と主観的QOLは別次元のものとしてとらえられていると考えられた。
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© 2012 一般社団法人日本精神保健看護学会
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