2013 年 22 巻 1 号 p. 29-38
病識を高めるために,心理教育は重要な役割を担っている.過去の研究では集団心理教育介入の効果の検証が多く,個別介入の有効性について十分吟味されていない.本研究では,入院中の統合失調症者6名に対し5回を1クールとした個別心理教育を実施した.その実施時の会話内容を質的に分析した.実施時の会話内容からは18のカテゴリ,137のサブカテゴリ,524のコードが抽出された.個別心理教育1回目は目先の症状に気が向いていたが,教育の回教が進むにつれて,退院後や先を見据えた生活のイメージを主体的にもてるようになっていくことから,入院体験を回復に必要な体験としてリフレイミングできる看護的かかわりが重要であり,その一助として個別心理教育が利用できると考えられた.