日本精神保健看護学会誌
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構造化された入院治療環境の中で看護師が構築する境界性パーソナリティ障害患者との援助関係
佐藤 智美吉野 淳一澤田 いずみ
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2015 年 24 巻 1 号 p. 12-22

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抄録
本研究の目的は,構造化された入院治療環境の中で,看護師が境界性パーソナリティ障害(以下,BPD)患者との間に,どのような援助関係を構築し,看護しているのかを明らかにすることである.研究対象は,同質な対象(Holloway & Wheeler, 1996)とし,5例以上のBPD患者の看護経験を持つ精神科看護師9名である.データは,インタビューガイドを用いた半構造化面接にて収集し,Strauss & Corbin(1990/1999)のグラウンデッド・セオリーを参考に分析した.結果,構造化された入院治療環境の中で看護師が構築するBPD患者との援助関係は,〈関係性の破壊を予測させるBPD患者と患者に不安と憤りを抱く看護師の出会い〉という状況から始まり,〈関わりの成果を予見できないなか陰性感情を伴いながらも患者の成長を願い築かれる援助関係〉という行為/相互行為を経て,〈BPD患者への看護の困難がもたらす無力感と長期的関わりで生じるやりがいの可能性〉といった帰結からなる《守られ縛られることで成長の機会を待つ患者と看護師の援助関係》であった.
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© 2015 一般社団法人日本精神保健看護学会
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