2015 年 24 巻 1 号 p. 51-58
女性アルコール依存症者18名を対象に半構造化面接を実施し,女性アルコール依存症者が女性のみのメンバーで構成されるAAミーティングに参加することが,アルコール依存症からのうつ状態を予防することにどのように影響しているかを明らかにすることを目的に分析を行った.分析の結果【参加による引きこもりの予防】,【安心して自分を取り戻せる場の確保】,【依存症から離れる力を得る場の確保】,【女性同士の共感と語りの共有】の4つのカテゴリーが抽出された.アルコール依存症になったことでうつ状態になってしまった女性アルコール依存症者は,それまでは自分が生きているということを否定的にとらえていた.しかし,AAミーティングに参加することによって新しい生き方を知り,仲間に必要とされる感覚を得たことから生きることに対する肯定的な考え方や,自分が生きていくことへの自信をもてるようになったと考えられる.すなわちミーティングへの参加とうつ症状の改善との間によい循環が生じていたのではないかと考えられた.