1997 年 6 巻 1 号 p. 1-11
精神分裂病患者をもつ家族11名に対して、自宅訪問しCFI (Camberwell Family Interview)を中心とした面接を行い、家族の心的態度について質的に検討した。その結果、家族の心的態度を1)患者に対する心的態度、2)疾病に対する心的態度、3)時間性における心的態度という3側面から取り出した。なかでも、時間性における心的態度は過去・現在・未来に関するものという視点で19項目をとらえることができ、心的態度の重要な観点であった。時間性における家族の心的態度は家族の喪の仕事(mourning work)として理解することができた。家族はその途上にあり、時間性のなかで、関係の断絶から新たな関係へと患者に対する心的態度が変化してきていた。疾病に対する心的態度も時間性の中に含まれていた。家族の心的態度の本質的な特徴はアンビバレンスであり、このアンビバレンスを理解した上で分裂病患者をもった家族への長期にわたる援助を行っていくことが必要である。