抄録
本研究は、認知療法の枠組み、すなわち自動的思考とスキーマを歪んだ認知と捉え、精神科看護者のバーンアウトと歪んだ認知との関連性を明らかにすることを目的とした。都内精神病院に勤務する病棟看護者107名を対象に質問紙調査を行い、各尺度の信頼性及び妥当性を検証後、バーンアウトと自動的思考、スキーマとの関連性を相関分析を用いて検討した。その結果、スキーマとは有意な相関関係が示されなかったが、自動的思考とはやや高めの相関関係が示され、精神科看護者が高いバーンアウト状態に陥るほど、「自己への否定的なレッテル貼り」、「誇大視」、「破局的な見方」、「全か無か思考」といった自動的思考を持つことが明らかとなった。これらの結果から、精神科看護者のバーンアウトと、歪んだ認知のうち自動的思考との関連性は検証され、今後精神科看護者のバーンアウトに認知療法が適用できる可能性が示された。