抄録
近年、地域おこし協力隊制度は多くの自治体で導入されており、「受入地域」「応募者(隊員)」「事業関係者」の多様化が進展している。その一方で、隊員の大半は見ず知らずの地域に入り、事業関係者と信頼関係を構築しながら活動を展開することが求められ、そのプロセスにおける課題として、隊員に対する支援の在り方について議論が一定程度蓄積されている。本稿では、地域おこし協力隊の支援体制に着目し、制度導入後、民間事業者や大学とともに支援体制が構築された宮城県美里町をケーススタディとして、その支援体制の構築に至る過程及び特徴を明らかにした。宮城県美里町ではそれまでに当該町と関係性を有していた民間事業者と大学による支援体制が構築され、支援事業の1年目として専門性を生かしたセミナーと座談会・報告会が開催された。当初の目的としていた隊員の孤立の防止、行政が有していないノウハウ・知識の提供に資する機会づくりが果たされた。