応用統計学
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研究論文
格付・財務情報を用いた金利・リスクプレミアム期間構造の推定
川田 章広塩濱 敬之
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ジャーナル オープンアクセス

2009 年 38 巻 2 号 p. 69-86

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抄録
市場で取引される国債と社債の利回りを比べてみると, 通常, 社債の方が国債よりも利回りが高くなっている. これは社債は国債に比べ, 信用リスクや流動性リスクなどを含むためである. この利回りの差をリスクプレミアムという. リスクプレミアムは, 社債の発行企業の信用リスクを測る上で有用な情報であるため, 古くから債券価格から推定されてきた. 本稿では, 誘導型モデルを拡張した統計モデルを構築し, 金利・リスクプレミアムの期間構造の推定を行う. リスクプレミアムの期間構造の推定では,信用格付ごとにリスクプレミアムの推定をすることになるが, それでは同一格付内での発行企業間の違いが表現されないため, 発行企業の財務指標によりリスクプレミアムの水準が上下するようなモデルを用いる. 安道, 山下 (2005)では, モデルに取り入れる財務指標をあらかじめリスクプレミアムと関係性が高いと考えられる指標から選択し, リスクプレミアムの推定を行っている. そこで, 本研究ではFan and Li (2001) による変数選択を行う罰則項を用いた罰則付き最尤法により, 財務指標の変数選択とモデルのパラメータ推定を同時に行う手法を提案する.
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© 2009 応用統計学会
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