応用統計学
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最新号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
巻頭言
原著論文
  • 中北 誠, 鳥谷部 智規, 中妻 照雄
    原稿種別: 原著論文
    2025 年54 巻2 号 p. 129-144
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/18
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,2024年の7つの主要な暗号資産について,1時間足のデータに確率的ボラティリティ(SV)モデルを適用する.モデルには,取引量および収益率とその絶対値に基づく説明変数を組み込み,バーンスタイン多項式により日中および月中の季節性を柔軟に捉える.推定結果から,これらの説明変数に対応する回帰係数はいずれも統計的に有意ではなかった.このことは,伝統的な金融市場でしばしば観察されるボラティリティ・収益率・取引量の関係が,暗号資産市場の1時間足という時間スケールにおいては必ずしも成立しないことを示唆している.また,推定された条件付ボラティリティ(SVモデルによる潜在ボラティリティ)には高い持続性が見られた一方で,伝統的な金融市場でしばしば報告されるような収益率との負の関係(レバレッジ効果)は確認されなかった.季節性成分に顕著なパターンは見られず,ボラティリティ分布にもファットテール性は認められなかった.これらの結果は,暗号資産市場がアルゴリズム取引に強く依存しており,価格変動が伝統的な投資家のリスク回避行動を必ずしも反映しない構造を有していることを示唆している.

  • 大城 真太郎, 横内 大介
    原稿種別: 原著論文
    2025 年54 巻2 号 p. 145-165
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/18
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,POSデータを用いてメーカーの売上高の予測可能性を検証する.POSデータは店頭での製品売上を記録したものであるため,国内小売店舗における売上が業績の大部分を占めるメーカーであれば,POSデータから売上高予測が可能だと考えられる.POSデータによって捕捉できる売上割合が小さい個別企業については対象外とする.POSデータはこれまで研究や実務の様々な場面で活用されてきた.在庫管理をはじめとした小売店での業務効率化,販促や価格戦略の効果検証,消費や物価等のマクロ経済指標の推計はよく知られたユースケースである.前述の通りPOSデータは,個社の売上高予測にも大いに活用できそうだが,実務面での活用例は伺えるものの,我々の調べる範囲において研究例は見当たらない.そこで本研究では,POSデータを用いて個社の売上高予測を試みる.関連する先行研究としてIshikawa et al. (2016)は,米国日用品メーカーの四半期実績売上高の成長率は,米国スーパーマーケットで観測されるPOSデータの成長率と高く相関することを報告した.同報告では売上高予測の可能性の示唆に留まっているため,本研究では実際にPOSデータを用いて実績売上高の予測を行う.また同報告ではPOSデータを全て使用しているが,POSデータには様々な誤差要因が存在し,サンプリングバイアスも大きいため,本研究ではPOSデータの選別を行った後に売上高予測を行うことで,その効果も併せて検証する.さらに株式投資への応用可能性も検証する.

総合報告
事例研究
  • 大屋 栄, 中北 誠, 鳥谷部 智規, 久保田 尚希, 中妻 照雄
    原稿種別: 事例研究
    2025 年54 巻2 号 p. 185-194
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/18
    ジャーナル 認証あり

    暗号資産の市場の進展に伴い,パフォーマンス評価のための指数の整備が進んでいるが,こうした指数は現状,時価加重型(CW)のものが中心である.株式の資産クラスでは,過去の実証研究により,最小分散ポートフォリオ(MV)はCWよりもリスク・リターンの効率性で優位である点が指摘されており,これを基に新たな指数の開発が進み,最小分散指数に基づく資産運用は人気のある投資戦略の1つとして定着している.暗号資産クラスでは,伝統的資産のポートフォリオに暗号資産を追加することでの効果検証に関する研究は多数存在するものの,暗号資産クラスの中でのポートフォリオ構築に関する研究は少なく,MVとCWとを比較した研究は筆者の知る限りまだ存在しない.そこで,本研究では,暗号資産市場において,MVとCWのリスク・リターン特性を比較分析した.MVの構築には,Binance取引所の130銘柄の月次リターンデータを使用し,高次元かつサンプル数が限られる状況を考慮して,Oya and Nakatsuma (2022)の改良版ベイズ型グラフィカルLASSOを用いている.2022年から2024年まで3年間の運用実験を実施し,代表的なCWであるS&P Cryptocurrency Broad Digital Market Index(BDM指数)と比較した.その結果,MVはCWに比べリスクを低減しつつ,より高いリターンを達成しており,リスク・リターンの効率性において優位であることが明らかとなった.この結果は,株式市場におけるMVの優位性を示す先行研究と整合し,暗号資産市場においても類似の傾向が存在する可能性を示している.

資料
  • 小池 祐太
    原稿種別: 資料
    2025 年54 巻2 号 p. 195-211
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/18
    ジャーナル 認証あり

    YUIMAとは,確率微分方程式でモデル化されたデータに対する統計解析手法のソフトウェア実装を行うプロジェクトの名称である.本稿では,YUIMAプロジェクトの主要な開発成果である統計ソフトウェアRのパッケージyuimaを用いて,確率微分方程式による金融時系列データの統計的モデリングを実施する方法について解説する.具体例として2001年から2024年までのドル円為替レートの日次時系列データを取り上げる.モデル選択の結果,米国短期金利のモデリングにおいて先行研究で観察されたボラティリティ起因定常性(volatility-induced stationarity)がドル円為替レートにも存在する可能性が示唆された.

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