応用統計学
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総合報告 特集 : 機械学習とその応用(その2)
  • 熊坂 夏彦
    原稿種別: 総合報告 特集:機械学習とその応用(その2)
    2024 年 53 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/01
    ジャーナル 認証あり

    ガウス過程は信号処理から天文学まで幅広く利用される非常に汎用で強力な非線形モデルの一種であるが,近年ではゲノム学の分野でも用いられるようになった.本稿ではゲノム学の分野でも,特に遺伝統計学において,経時的に変化する動的な遺伝的関連をゲノム上に位置づけるモデルについて紹介する.また実例として,一細胞RNA解析において自然免疫応答の擬似時間に沿った遺伝子発現の遺伝的関連を同定した結果と,縦断研究における疾患・発達に関わるありふれた形質をゲノム上に位置づける試みについて紹介する.またその課題についても議論する.

原著論文 特集 : 機械学習とその応用(その2)
  • —Source-Attention Transformerと特徴融合によるマルチモーダル深層学習—
    新美 潤一郎
    原稿種別: 原著論文 特集 : 機械学習とその応用(その2)
    2024 年 53 巻 1 号 p. 15-32
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/01
    ジャーナル 認証あり

    近年の深層学習分野では,動画,音声,テキスト等複数のモダリティにわたるデータを同時的に投入して学習器を構築するマルチモーダル学習の手法が様々提案されている.一方のマーケティング分野においても,顧客生涯価値(CRM)の推定や行動予測にあたり,スマートフォンアプリや購買履歴等の行動ログとデモグラフィック変数や調査回答などの複数のデータを組み合わせた解析自体は広く行われているものの,それらはあくまでも各データを分析者の手で変数化し,単一の解析データに集約することにより実施されることが一般的である.しかしながら,このような分析では深層学習の特徴抽出に基づく高い予測性能を必ずしも活用できていない可能性がある.そこで本研究では,CRM分析への応用を目的として,外部データを文脈情報として考慮可能なSource-Target Attention Transformerと,データ融合手法としての特徴融合を組み合わせることにより,顧客のサービス利用を時系列的に記録したパネルデータと,デモグラフィック情報や調査回答を収録したクロスセクションデータを同時かつ効率的に学習する解析手法を提案する.検証にあたっては,スマートフォンゲームの将来利用を対象として,LSTM等の非Transformerを含む複数モデルの比較による網羅的な実データ解析を行い,既存手法と比較した高い予測性能から提案手法の有用性を示した.

事例研究 特集 : 機械学習とその応用(その2)
  • 坂井 佑輔, 寺田 吉壱, 高橋 弘毅
    原稿種別: 事例研究 特集 : 機械学習とその応用(その2)
    2024 年 53 巻 1 号 p. 33-54
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/01
    ジャーナル 認証あり

    重力波は,アインシュタインの一般相対性理論によって予言された重力による時空のゆがみが光の速さで伝わる波動現象である.近年,重力波の観測が可能になり,重力波を用いた物理学・天文学や重力波と他波長との観測によるマルチメッセンジャー天文学への発展が期待されている.一方で,重力波観測においては,非定常・非ガウス性の突発性雑音が発生するため,重力波望遠鏡の不安定化や重力波信号の模倣・隠蔽を引き起こす.突発性雑音は,その原因に起因すると考えられる様々な特徴を持つため,突発性雑音の分類によりその原因の特定や観測の精度向上に貢献することが期待できる.本論文では,深層学習を用いて突発性雑音の潜在変数を抽出し,その分類を行う.まず,抽出した潜在変数に対しては3次元空間に埋め込むことで可視化し,さらに潜在変数に対する入力画像を即座に表示するツールを開発した.可視化ツールでは潜在空間上の突発性雑音の分布についてその入力画像と共に考察できるようにした.また,潜在空間上の突発性雑音に対し教師なし分類を実施し,クラスタリング不安定性と誤判定率の評価により適切なクラスタ数を推定した後,その分類結果について報告する.

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