応用統計学
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巻頭言
総合報告
  • —作物生産性予測における研究の概説と統計手法—
    櫻井 玄, 石塚 直樹, 岡部 憲和
    原稿種別: 総合報告
    2021 年 50 巻 2-3 号 p. 55-74
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/14
    ジャーナル 認証あり

    気候変動によって社会はどのような影響を受けるのか,気候変動の影響予測に関する研究は社会においてさらに重要性を増している.特に作物は気候変動の影響を受けやすいだけではなく,食料安全保障の観点からも社会において中核的とも言える重要課題であり,作物生産性に関する気候変動影響研究はさらなる研究を必要としている.しかしながら,気候変動と作物生産性の関係についての解析は未だに十分とは言えず,より精緻な統計学的な視点をもって研究していくことが重要である.一方で,本格的に統計学的・情報学的なバックグラウンドを持つ研究者の参画がまだ少ない分野であることも確かである.本稿では,より統計学的・情報学的なバックグラウンドを持つ研究者が気候変動影響予測研究に参画することを促す一助となることを目指す.緒言的な内容から記載しつつ,統計学的な手法を用いたこれまでの研究の問題点などを議論する.まず最初に,気候変動影響予測研究の特殊性について触れ,次に現状の統計的な解析が気象以外の要素の取り扱いについて不十分であることを例示的な解析を通じて指摘する.機械学習による解析やプロセスベースの作物モデルとの関係性についても短く議論する.

原著論文
  • —2流域の極端洪水の同時生起確率推定—
    田中 智大, 北野 利一
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 50 巻 2-3 号 p. 75-101
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/14
    ジャーナル 認証あり

    気候変動による極端気象の生起頻度への影響を評価するため,d4PDFと呼ばれる大規模アンサンブル気候予測データが開発され,3,000年分のサンプルサイズをもつ現在気候の再現データが提供されている.これにより洪水リスクへの影響評価は進展し,一河川だけでなく複数の河川流域の同時氾濫リスクも議論されはじめている.ただし,洪水解析への多変量極値分布の適用は少なく,大規模なアンサンブルデータへの適用事例は皆無である.本研究では,関東地方(利根川,荒川)および九州地方(球磨川,緑川)の2組の流域群に対して2変量極値分布を適用し,各流域でd4PDFから計算した年最大流量データ(以下,d4PDF極値流量データ)を用いて極値流量の従属性を分析した.成分最大値分布として従属関数の異なる9種類のモデルを適用した.累積確率分布や従属関数によるモデル選択は容易でないため,成分最大値の元時系列における閾値超過分布(横断分布)に対する適合度を2標本Kolmogorov-Smirnov検定で評価する方策を試みた.d4PDF極値流量データは元時系列を含まないが,30年や60年最大値(それぞれサンプルサイズ100,50)を抽出し,それらに対応する閾値超過標本が3,000個の年最大値で近似できると仮定した.その結果,横断分布に対する適合度の高いモデル間で従属性を表す生起率の相関係数χを安定して推定することができた.各流域群でχは0.2程度および0.3〜0.4程度と推定され,九州地方の流域群の方がより従属性が高いことが示唆された.利根川・荒川水系の計画規模は200年,球磨川・緑川水系の計画規模は150年のため,計画規模の同時に超過する洪水の再現期間はそれぞれ1000年および約375年〜500年と推定された.

  • 佐藤 彰洋, 菅波 紀宏, 加藤 茂博, 岩崎 学, 西村 正貴
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 50 巻 2-3 号 p. 103-124
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/14
    ジャーナル 認証あり

    本稿では,自律分散的な世界メッシュ統計基盤のアーキテクチャ設計とその実証に必要となるデータ品質,計算機システム構造,人間的組織構造,データフロー間の関係性,並びに経済社会的に持続可能性を有するエコシステムについてその構想を解説する.さらに,自律分散的世界メッシュ統計基盤を用いたSDGsへの取り組みについて述べる.

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