抄録
多群2項モデルにおいて,母比率の間の相違に関しての多重比較検定について論じる.比率の間のすべての差の同時区間推定法が,Hochberg and Tamhane (1987) で述べられている.この手法と同様なシングルステップのTukey-Kramer型検定方式を構築することができる.しかしながら,この検定方式は保守度が未知パラメータに依存し制御することができない.この論文では,逆正弦変換による多重比較検定法を提案し,保守度をサイズの比の関数として制御できることを示す.また対照群との多重比較法に関しては,白石(2009)と田中・垂水(1997)はBonferroniの不等式による手法が述べられている.逆正弦変換により,Bonferroniの不等式による手法よりも検出力の高いDunnnett型多重比較検定法を論じることができる.さらにテューキー・ウェルシュの方法とREGW法を改良する閉検定手順も論じる.