仮説検定問題において,単純帰無仮説対単純対立仮説を検定する場合はNeyman-Pearsonのlemmaにより,最強力検定は常に存在する.しかし単純帰無仮説対複合対立仮説の場合には一般には一様最強力検定は存在せず,存在するための十分条件はその分布族が単純尤度比をもつことである,といったことはよく知られた事実である.
ここでは単純帰無仮説対複合対立仮説の検定問題において,観測個数が2以上の時,あるα0以下の任意のαを水準とする一様最強力検定が存在するための必要十分条件は,その分布がある区間で指数型であることを示す.さらに観測個数が確率変数である時,上と同様の検定問題で一様最強力検定が存在するための必要十分条件も,その分布の型で与える.