抄録
熱帯降雨観測衛星(TRMM)計画は,1997年に我が国のH-IIロケットで衛星の打ち上げを予定し,約±37°の緯度の範囲について緯経度5°×5°の領域内の月平均降雨強度を宇宙から観測することを主な目標としている.降雨レーダを用いた領域平均降雨強度推定のための標準アルゴリズムの一つに,統計的方法のしきい値法が用いられる予定である.本稿は,TRMM計画について目的と意義を含めて概観した上で,降雨強度分布の目的に沿った統計的モデル化と降雨強度の特性値としての平均,モーメント,分散,積モーメントのしきい値法による推定について報告する.