階層的人工ニューラルネットワークは統計的モデルとして捉えるならば,一つの多変量非線形回帰モデルと見なすことができる,また,ニューラルネットワークの学習とは,観測データに基づくモデルの未知パラメータの推定問題と考えられる.したがって,ニューラルネットワークにおいても統計的モデルと同様な制約を受けることになる.階層的ニューラルネットワークの有効性はそれによる関数の表現能力の大きさにある.しかしデータの次元数,標本数,未知パラメータ数などに関しては従来論じられている関数当てはめやモデル選択と同様な議論が不可欠である.
本論文は階層的ニューラルネットワークの基本的な動作を解明し,実際に応用する場合の問題点を明確にすることを目的としたものである.